公益社団法人とめ青年会議所 2023年度 理事長所信
はじめに
1970年9月、「われわれは、流動する新しい時代の現実を冷静に把握し、正しく認識するとともに、自己の研鑽と思索を怠らず、将来に対する的確な展望を立て、地域社会の輝かしい向上発展と福祉国家建設の担い手として団結し、ここに、限りない前進を開始いたします。」という宣言文のもと、とめ青年会議所の前身である佐沼青年会議所が産声を上げました。以来、50年以上にわたり「修練・奉仕・友情」の三信条のもと、目まぐるしい時代の変化に合わせ、「明るい豊かな社会」の実現に向け運動を起こしてまいりました。「明るい豊かな社会」は時とともにその理想像が変化します。その時代時代で理想像に向けてアクションを起こし続けてきたのは我々青年世代です。運動の根源は、我々が住み暮らすまちを良くしようという想いにほかなりません。急激に社会が変化している今だからこそ、地域の課題を的確に捉え、「何をするか」ではなく、「なぜ」、「何のために」、「誰のために」運動を行っているのかを考え、取り組むことが重要です。
青年会議所で学べることや得られる機会は全力で取り組めば、必ず成長があります。会員の成長こそが組織を強くし、それぞれの社業の発展、ひいては地域の発展へとつながる好循環を生みだすと確信しています。地域から求められ、地域になくてはならない人財・組織として歩みを止めることなく走り続けることが、明るい豊かな社会の実現につながります。
地域のシンボルとなる祭り
私が子供の頃を思い返すと、強烈に記憶に残っているのが地域の夏祭りでした。生まれ育った場所が地域の夏祭りのメインストリートで、賑やかな雰囲気や提灯の灯り、老若男女の笑顔に溢れていた夏祭りは今でも地域に対する想いの根源となっています。2020年以来、夏祭りの中止や参加できない状況が続きました。さらに、財政的な問題や、数年開催できなかったことに起因するノウハウの低下、担い手の不足など多くの問題を抱えています。しかしながら、地域への想いや、郷土愛を育む機会である夏祭りは必ず続けていかなければなりません。
2015年より主催として開催してきた登米市神輿祭はとめ青年会議所の一大事業です。しかしながら、とめ青年会議所の夏祭り事業に参加したことがないメンバーが増加している現状があります。そのような状況だからこそ先輩諸氏が何のために、どのような想いで祭りに参画してきたかを振り返り、歴史を知り、今の自分たちの想いを乗せて事業構築することが求められています。継続事業だからやるのではなく、我々の地域に対する想いや地域のもつ魅力を広く伝播する絶好の機会と認識し事業を構築しなければいけません。地域住民はもちろん、会場に来ることの難しい方や、地域を離れた方なども含め、一人でも多くの人々を巻き込み、登米市のシンボルとして誇りを持てる登米市神輿祭を創り上げます。
また、青年会議所は単年度制を取っている組織であり、様々な役職や機会を経験できることが最大の強みであります。毎年事業の効果検証、引継ぎを行い、ブラッシュアップを重ねていくことで、継続してより良い事業を行っています。しかしながら、多くの対外協力者と共に実施している登米市神輿祭においては、組織内のみでの継承だけでは継続が難しくなることが予想されます。対外協力者とも様々な意思共有を図り、継続性をもって事業を創り上げていくことができれば、事業としてより持続可能なものとなりステップアップできると考えます。主催団体として各種参画団体がそれぞれの強みを発揮できる実行委員会組織を構築し、登米市神輿祭を地域の皆様と共に創り上げ、10年20年と続いていく祭りにするために率先して行動を続けてまいります。
先達が紡いでこられた根底にある想いを体現し、本気で取り組む我々の行動は、必ずや地域の皆様の共感を生み出し、地域のシンボルとなる祭りが実現できると確信しています。
本質を捉え行動する組織へ
2020年から始まる新型コロナウイルスが社会にもたらした影響は多大なものでしたが、正しく恐れ対策を講じることでほとんどのことが実行可能になりました。反面、多くのことが制限された3年間で、はからずも簡素化をしたり、やらなくともよいのではないかという疑問が生じる要因にもなりました。しかしながら、50年以上続いている組織として継承されてきたことには意義があります。盲目的に倣うのではなく、常に「なぜ」、「何のために」ということを意識し、本質を理解した上で時代に合わせ進化を続ける組織であることが求められています。とめ青年会議所は2014年に公益社団法人格を取得し活動を続けてまいりましたが、公益法人としてのルールへの対応や継続事業を考えるうえで、今後活動を継続していくために組織としてどのような形が適しているのか検討する必要があります。地域のため、会員の自己成長のために活動するという方向性は変わりませんが、幅広く柔軟な事業を展開するためにどのような在り方が適しているか議論を尽くし、組織の未来を見据え行動を起こします。
共感の輪を広げるブランディング
青年会議所は、団体名にもある通り会議をとても大事にしている組織です。そしてこの会議こそが我々の活動の根幹であり、多くの成長の機会が得られる場であると考えています。自分の考えを人に納得してもらうための論理的思考力、自分とは違う見解を受け入れ、自分のものとして昇華する力など多くの学びがあります。理事会や委員会などそれぞれの機会を大切にすることこそが、個人としても、組織としても成長につながります。どんなに小さな会議であろうと、会議に向けた資料については事前チェック、設営等の準備を徹底し、時間を無駄にすることなく、当たり前のことを当たり前にやり、他者への学びの機会であることを理解して効率的な会議運営を行ってまいります。
また、我々は地域を想い多岐にわたる活動を行ってきていますが、青年会議所として地域からどの程度認識されているでしょうか。どのように素晴らしい内容の事業を計画し、実行したとしても、それを効果的に発信し伝えることができなければせっかくの事業の効果も大きく減少してしまいます。大きな運動を引き起こすためには、多くの賛同者が必要です。我々が起こす運動が、大きなうねりを起こしていくためにも、多種多様にある広報ツールを分析し、計画性をもった広報を実施するためのルールのもと、より効果的で共感を得ることができる組織内外に向けた魅力的な情報発信を行います。
そして、登米市はラムサール条約湿地である伊豆沼・内沼、歴史情緒あふれるみやぎ明治村、自然豊かな風景を楽しめる長沼フートピア公園など多くの資源を有する地域です。しかしながら、全国各地で地域をPRする様々な取り組みが行われており、今ある資源を現状のままにおくことは、登米市が有する魅力を埋没させることにつながります。我々は、地域資源に付加価値を加え、地域の象徴的な存在として確立することで、登米市にしかない魅力として広く発信いたします。
共感を生み出し続ける組織へ
近年、会員の拡大は我々の掲げる最重要課題の一つです。しかしながら私自身は今まで会員拡大については実績も少なく、積極的に行動できていなかったと言われても仕方がないかもしれません。JCI Missionに書かれているとおり、「青年が社会により良い変化をもたらすための成長と発展の機会を提供する」ことが青年会議所の使命であり、会員の拡大は青年会議所が発足して以来、唯一途絶えることなく継続されている運動なのです。会員拡大とは青年会議所のことを全く知らなかった人や、もしかしたらネガティブなイメージを持っていた人の心を揺さぶり、共に活動を行う同士になってもらうということは、まさに我々の「運動」そのものであると、様々な経験を通して改めて認識いたしました。本年は、我々の青年会議所活動を通して得た実体験や、学び、社業への結びつきなどを会員候補者の方に伝える機会を創出し続けます。私自身には会員拡大の実績やノウハウはありませんが、覚悟と情熱をもって一人でも多くの会員候補者に合い、メンバー全員で会員拡大に取り組むための先頭を切ります。また、青年会議所はメンバー同士が共に磨き高め合うことができる団体です。諸会議において忌憚なき議論を交わし様々な価値観に触れることはもちろんのこと、ビジネス面でもメリットを得ることができる研修事業を通し、新入会員のみならずメンバー全員がとめ青年会議所に属していることの意義を感じていただきます。
会員拡大は、青年会議所での活動だけでなく、社業においても自らの成長を示し、人から借りた言葉ではなく、自分の言葉で伝えられるようになることが重要です。青年会議所で得ることができる多種多様な経験によりメンバー一人ひとりが魅力あふれる人財へと成長し、行動で示すことこそが、人の心を動かすのです。まだ見ぬ同志とともに、力強く挑戦を続け、共感を生み出す組織であり続けるために全力で会員の拡大に取り組みます。
地域の未来を共に創る
2020年からの新型コロナウイルスの影響により、我々が子供の頃当たり前に経験できたことが難しくなっている今、多くの機会が失われてしまっています。我々大人もとても大きな影響を受けましたが、子供達にとっての失われた2~3年は、大人以上にかけがえのない時間であったのではないでしょうか。そして、この地域の将来を担うのは我々ではなく、機会を失ってしまった子供達なのです。新型コロナウイルスの影響により様々なことが制限されてきた状況に加え、急速に進んだ情報化によりどのような情報でも簡単に手に入り知ることができるからこそ、見聞きするだけでなく、自分自身の体で体験することこそが子供達の成長にとって最も重要なことではないでしょうか。他の地域にない登米市ならではの魅力に触れ、より発展させるためにはどうすべきかを考え、同世代の仲間と共に何かを成し遂げるといった学校生活では経験することのできない記憶に残る原体験が、地域への愛着を育みます。子供達自身の言葉で地域をより良くするための考えを市政に対して投げかける登米市子供議会を本年も登米市、登米市議会、登米市教育委員会との共催事業として開催いたします。子供達の素直で真剣な質疑は必ず我々大人へも新たな気づきを与えてくれます。青少年育成への寄与のみならず、関係者全員が地域の将来を良くしようという想いを共有できる機会として事業を構築いたします。
結びに
私がとめ青年会議所に入会したのは2015年でした。入会以来、様々な経験させていただきました。社業が忙しい時期に担当の事業が重なったときなど、投げ出したくなることも少なくありませんでした。しかし、自分の夢や考えを話すことが苦手だった私が、変わってくることができたのは、共に活動したメンバーから頂いた刺激によるものでした。困難なことに挑戦した時や新たな価値観に触れたときこそ、自身の成長を感じることができました。青年会議所には多くのチャンスがあり、そのチャンスをつかみ取ることは大きな成長につながり、そのストーリーが多くの共感を生み出すと信じています。我々とめ青年会議所は、多くの仲間と共に明るい豊かな社会の実現に向け歩みを止めることなく前進し続けます。
<基本理念>
共感 共創
<事業計画>
共感を生み出す青年会議所運動の発信
登米市佐沼夏祭り事業への参画
登米市神輿祭の企画・運営・実行委員会組織の設立
組織の現状に沿った組織運営の推進
原体験を得られる青少年の育成事業
共感の輪を広げる会員の拡大
会員の研修、会員相互の交流
会員、家族、OB・OGとの交流